エヴァQ感想

公開直後から「なんだかすごいことになっている」と話題になってたので公開二日後くらいに見てきました。
はじまってすぐ「あーwこれは庵野監督またやりやがったな」と思い、
割とずっとおかしくて仕方なくて「ひゃー!次は何がww」とジェットコースターかお化け屋敷のような感覚で見ていました。

だってもうぜんぶ悪い夢みたい。
荒れ果てて日常生活が消失した世界で、ガンガン戦艦や巨大ロボが戦う。
あまりにも荒唐無稽で矛盾がありすぎて、リアリティがないけど迫力あるところも悪い夢そっくり。

周囲の皆さんのシンジくんへの扱いがあまりにも酷すぎて逆に笑える。
破で「世界がどうなったっていい!」といって好きな女の子を助けたらホントに世界がどうかなっちゃって、知らないうちに世界滅亡の責任を負わされ、しかも世界を犠牲にしてまで助けたかった女の子は結局助けられてなかったらしく、「ボクは君を助けたよね!」と必死で聞いても「助け…た?」ポカンな反応をされるという。ひどい。
それでも落ち込んでるところを慰めてくれた友人となんとか頑張ろうとしてたら大事なところで訳わかんないこと言い出してよくわかんないことになり、結果なぜか目の前で友人の頭が爆発。ひどい。
あまりのことにショックを受けて思考停止して丸まってたら「またそうやって甘えてる」とかなじられて。あ、ま、え…?この仕打ちあんまりじゃないですか。非常にキビシー!そりゃないぜセニョール!

「破」で成長したと思ってたシンジくんの見事なまでの転落劇。転落というかそもそもはじめからなかったことみたいになってて悲惨。
またしても庵野監督がエヴァファンを裏切った。またしても!もう、ものすごく悪趣味で笑える。

ただまぁ、私はTV版をリアルタイムで見てはいたものの、そこまで熱狂的なエヴァファンではなかったので、その悪趣味さを笑って面白く見れてたのですが、ストレートに好きで感情移入してた人はさぞやモヤモヤしたんだろうなと思うし、実際TLでもモヤモヤな人がたくさんいました。

まっすぐにエヴァが好きな芸人代表とも言えるあっちゃん、Q公開前の、「日経エンタテインメント!」のエヴァ特集で、Qへの想いを熱く語っていました。

以下要約。

  • TV版を見ていた当時、シンジやレイ、アスカと友人たちの学生生活に、自分が現実世界では体験できなかった青春を感じて癒されていた。
  • しかしTV版終盤でレイは自爆し、生きてはいたがシンジとの思い出を共有しない「三人目」として復活する。これがショックで、トラウマを感じていた。
  • ところが大人になって序・破を見て、『初恋の人に再会した』と感じた。TV版と大きく違う点として、「私が消えても代わりはいるもの」というレイをシンジが「綾波綾波しかいない!」ときっぱり言い放つ。僕がずっと言ってほしかったセリフを、シンジが言ってくれた。トラウマが吹き飛んだ。

Q見た方はご存知の通り、Qではまたしても…!あざ笑うかのように見事にトラウマえぐりかえしてましたね。
再会したと思ってた初恋の人を再び!またしても奪われたー!!

成長したシンジが、ようやく想いが通じあったレイと、今度はちゃんと良好な関係を構築するという「破」の延長線上のドラマを期待して見に行ったら、
「Q」ではハテなんですかそれ?お前のせいで世界滅びましたけど!という扱いを受け拒絶され虐げられ。好きだった女の子は別人のようになって…

もうひどい。大ショックですよね。ひどい裏切り。シンジくんの目線で見てきたファンをとにかくこれでもかとひどい目にあわす。監督ひどいよね。ほんとひどい。絶対わざとだよねこれ。

ただ、そこまでまっすぐなエヴァファンではない私は、「序」「破」と、シンジくんが成長してレイや周囲の人と絆を作ってぽかぽかしてるのを見て、
「そっかー良かったね。みんな成長したし、私もおとなになったし、これでよかったんだね…」
と祝福しつつも心のどこかで
「もうあの時の自分もシンジくんもいないんだ」と寂しいような複雑な感じもしてた。
「序」「破」はとても面白いし素晴らしいエンターテイメント作品だったけど、かつての社会現象や大きなムーブメントを巻き起こした問題作とは良くも悪くも違う。
「ふつうの、『素晴らしいエンターテイメント作品』に成り下がってしまったな」とも少し思ってた。

そして、仕方ないと納得しつつ、そのままの期待値でQ見に行ったら、突然、
「バカめ!お前も俺らもなーーんも成長なんかしてないし変わってないんだ!どうしようもなくクズだ!見たか!世界もメチャメチャだ!」
とちゃぶ台ガッシャーンひっくり返されたような気がしてびっくりしておかしくてなんか逆にスッキリ気持ち良くなってとりあえず笑ってしまった…という感じ。

ストレートにエヴァを好きで愛し続けてきたファンの、熱いまっすぐな期待と気持ちをドカーン!と見事に足蹴にして突き放して目を白黒させて。
見事なまでに弄んでますね。すごい。なんか逆に、そうこなくちゃって感じ。

11月無限大であっちゃん、エヴァQについて熱く語り、手ひどく裏切られた傷心ゆえか
「ループとか謎とかどうでもいいんだ、俺の綾波を返せーーー!」と叫び、慎吾くんに抱きとめられて
感極まって涙するという素晴らしいエヴァ愛を見せつけてました。ストレートなこの反応。本当に好きなんだなぁ…と見てて熱い気持ちになりました。

かくいう私は、前半の映像ものすごくお金かかってものすごくて、しかし途中で予算きれたのか息切れしたのかネルフ本部は使い回しばっかりとか、そんなとこさえあーそうだよこれがエヴァだった…!とか思ってしまうひねくれものなのですが、それでもそんな角度からでさえも楽しめてしまうということがやっぱりすごいなー面白いなー、と。

庵野監督が次に何を見せてくるつもりなのか、すごく楽しみで仕方ないです。
(そして、あっちゃんの反応もw )