青春を手に入れるまでの物語「芸人前夜」感想

ひさびさ更新。書籍「芸人前夜」の感想です。

「芸人前夜」は 2009年9月の創刊号から2012年1月まで雑誌「マンスリーよしもとplus」にて連載 *1されていたオリラジ中田さんの自伝的小説を書籍化したものです。
 芸人を目指し、相方と共にNSCに入学し、同期の中でナンバーワンになり、世間に見出されてデビューと同時にトップスピードで走り出すことを余儀なくされる直前までが描かれています。

 連載が始まった2009年はレッドシアター全盛期。*2
対するオリラジはデビュー直後に各局でゴールデン番組のMCを任されるという異常な売れ方をしていたブレイク期が終わり、同期・若手勢を率いて筆頭をつとめていた「鬼のワラ塾」も終了。「いいとも!」やCS(M−on!TV 帯番組「おいでよ!ドレミの森」)でのレギュラー番組こそあったものの、その他の出演は地方番組(東北放送「このへん!トラベラー東北編」)程度という低迷期。*3

 先が見えず将来を考え芸人目指してもがいていた大学時代のあっちゃんと、芸人としてこれから生き残っていくためになんでもやる!とありとあらゆる手段を模索していたこの時期のあっちゃんが重なります。
 オリエンタルラジオNSC同期の中で頭角を現し、在学中に2004 M-1準決勝まで進み、JCAとの対決ライブや同期トーナメントで好成績をおさめ、オーディションでTV出演が決まり、快進撃していく展開と同期するように、この小説の連載中にオリエンタルラジオはチャラ男ブームで再ブレイクを果たしました。

 目指しているものを実現するために情報を集め、状況を分析し、いくつも策をめぐらせて努力する。それ自体は納得できる普通のやり方なはずなのに、あまりにも論理的で赤裸裸でなりふり構わなさすぎるせいで普通じゃなくなってしまうというおかしさがあっちゃんの持ち味で、昔からずっと変わらないんだなと思わされます。
 でもエピローグの「あの頃の自分」と「今の自分」の対比を読むと、成長して確実に変わった部分も見れて、ああ良かったなぁ、いろいろあったけど良い時間の過ごし方をしてきたし、頑張ったら結果や成果はついてくるんだなと幸せな気持ちになって安心します。

 エピローグであっちゃんは「芸人になってからの約10年間が僕にとっての青春だった」そしてこの本の出版は青春との決別である、と述べています。
今年2014年、オリエンタルラジオは芸歴10年目に入ります。芸人としての青春の時期が終わり、これからは夏の時期。
新しい季節を迎えたオリエンタルラジオががどうなっていくのか、ますます楽しみになる本です。

芸人前夜 (ヨシモトブックス)

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( 雑誌掲載時との差などは別で書く予定)

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By 相方の藤森です
レビュー対象商品: 芸人前夜 (ヨシモトブックス) (単行本(ソフトカバー))
相方がレビューを書けと懇願してきたのでかきまーーす!
この本の1番いいところは、相方の僕がいい奴に描かれてて好感度がアップしてるとこです。やたらと比喩が多いとことか、カッコイイ台詞吐いたりと相方が気取って調子こいてるとこは少しイラっとします!
が、今年1番笑いました!

*1:当初は見開き2ページを毎月違う芸人さんが書く想定の企画だったのですが気付いたら連載化していたのだとか。

*2:マンスリーよしもと創刊第二号の特集も「総力特集爆笑レッドシアターコントの未来」

*3:しかしその分ライブがたくさんあり単独「我」ツアーで各地まわったりM−1に挑戦したりとファン的には何かとアツい時期ではありました。テレビゲスト出演も爪痕残そうと毎回毎回が真剣勝負の背水の陣的だったし。