お願いランキング「スリムクラブ芸人交換日記」書きおこし(6/7)

芸人交換日記企画第三弾はスリムクラブ。今回も書き起こしてみました。
鈴木おさむさんの小説「芸人交換日記」のように芸人が交換日記をするという企画。
オリラジ編はこちら→お願いランキング「オリラジ芸人交換日記」書きおこし(4/18) - Sugarsの日記
ダイノジ編はこちら→お願いランキング「ダイノジ芸人交換日記」書きおこし(4/25) - Sugarsの日記

スリムクラブは芸歴7年目。先輩後輩関係で真栄田さんが内間さんの1年先輩だそうです。
こちらの→てれびのスキマさんの記事を読むとさらに感慨深いです‥

1日目「ムカついていること」

真栄田→内間

内間、急ですが交換日記を君と始めることになりました。よろしくお願いします。
普段、なかなか言えない事を、お互いに伝えあえる良い機会だと思います。
まずは急だけど、オレがお前に対して腹が立っている事を多数書かせて頂きます。
お前は「この世で一番食べ方が汚い生物だ」
見ていて本当に気持ちが悪い。その時のお前の顔を見ると、ヒゲにツララのように汁を垂らし、花の穴は大きくふくらみ、瞳はランランと光っていて
「私はコレから何かに変身します」と言わんばかりです。

ナレーター「まずは日常的にムカつくことを暴露。さらに内間に足りないという芸人としての心構えを指摘する。」


君は芸人としての意識が低い。
笑いをとってナンボの芸人にも関わらず、君の仕事の際の目標は何だ?
「笑顔でなるべく大きい声を出します!!」バカヤロー!!居酒屋か!!無表情で小声でもいいから笑いを取れ!!

お前、こないだ沖縄で初めてのライブの日、不安と緊張に負けて、酒を飲んで現場に来たよな。
あの時は、オレ、ブチ切れて舞台袖でお前の事を約一時間ボコボコにしたな。
内間、お願いだからしっかりしてくれ!

内間「もう‥この文章100%ダメ出しですね‥非常に今‥心に染みてますね‥」しょんぼり。
しょっぱなからモノの食べ方と芸人としての意識という非常にシビアなところを責めて来た真栄田さん(笑)「食べ方が汚い」の描写が小説みたいに独特な表現です。初日だから力んでたのかな?

内間→真栄田

真栄田「オレのを読んで‥書いて来た訳ですねあいつが。緊張しますね」真栄田さんが鋭いところに投げ込んだ球を、内間さんは果たしてどう打ち返すか??


真栄田さん、交換日記読みました。
日記の中で指摘のあった「芸人として意識が低い」ですが確かに低いと思います。この件に関しては徹底して直したいと思います。
はっきり宣言します。俺はお笑い芸人です!

真栄田「すごい‥よく書けるな。オレはお笑い芸人ですって(笑」ちょっとあきれ顔。


あなたは忘れ物がひどい。ほぼ毎日楽屋で自分の携帯電話のありかを忘れ、毎回僕にその電話に電話をかけさせて探させますよね?あの作業はもうウンザリです。
あと、覚えてますか?以前急に真栄田さんから電話がかかってきて、仕事に関する事や喜怒哀楽が無い!人間らしくない!と30分以上ダメ出しを受けたときの事を。
そして翌日、反省をして謝ったら、真栄田さんは、その時酔っぱらっていて全然覚えておらず、
笑顔で「内間、怒られ損だな」といいましたね?あの時は今までで一番ムカつきましたよ。

真栄田「こいつも牙持ってるんだな‥って。意外な一面が見れました。」
たぶん普段は反抗なんてしないんだろうなー、という内間さんの精一杯の抗議は忘れ物と理不尽なダメ出しについて(笑)これはまぁ仕方ない。

2日目「秘密にしていたこと」

真栄田→内間


君が書いた日記読みました。まず最初の感想ですが、「文脈の流れが急に変わって、理解しづらい点が多々ある」です。
「オレはお笑い芸人です!」と当たり前の事を堂々と宣言していましたが、
まずは基本的な「相手(お客さん)に、自分の書いたモノ、言った事。とった行動がどう伝わるか?」を強く意識して下さい。

さらに追加ダメ出しw


さて、少し話し変わって、今日は君に秘密にしていた事を書かせて頂きます。
まだ二人でコンビを組み始めた頃、ネタの練習を決まってオレの家の近くでやりましたね。
ネタの練習は常にオレが君に厳しく指導するスタイルで、時には大声で君を怒鳴りつける事も多々ありました。

それでも君は、一言も文句を言わず、「ハイ!ハイ!」と練習を続けていました。
そんな君と練習が終わり、オレの住んでる安くて、せまいアパートで一杯やって一つのフトンで寝ましたね。
フトンに入り、先に眠りについた君を見ていると、
「コイツ、俺にあんなに言われたのに、グチひとつこぼさずに、素直についてくるな
こんなにスヤスヤ眠ってなんか可愛いな」と思い、
思わずオレは、君のおでこをなでなでしてしまいました。

以上!!あースッキリした!今回はこれにて終了です。

内間「気づかなかったですし‥あと、気持ち悪いですね(笑)」ほんとだよw真栄田さん何を告白しちゃってるんですかwww
スタジオのアンジャッシュ渡部さんの「‥こっちがスッキリしないわー(´Д` lll)」というコメントが笑えた(笑)
でも、写真に映る若い頃の内間さんは、坊主じゃなく茶髪で、本当になかなかかわいらしい顔をしてるなーなんて思いました。

内間→真栄田

これまで秘密にしてきたピンの仕事について暴露する内間さん。


実は僕も真栄田さんに秘密にしていた事があります。それはエンタの神様フランチェンが最終回を迎えた2008年の頃です。その頃、エンタの神様のオーディションがありました。
覚えていますか?僕が何気に「今回、ひとりでオーディション受けてみようかな」と言ったのを。
僕が一人でオーディションに行った事は真栄田さんは知ってると思いますが、その後どうなったのか知らないですよね。
実はオーディションの結果は仮合格で、スタッフさんと僕で「エンタの神様」に出演できるキャラクターを作って行こうという事になったんです。
その時、ものすごく嬉しかった。いつも真栄田さんの影に隠れて目立たない僕を、世間が認めてくれるかもしれない。
それから何日間かスタッフさんと打ち合わせを重ねて、ひとつのキャラクターが完成しました。
しかしそのキャラクターを見たプロデューサーさんは「エンタの神様向きじゃない。あらびき団に持って行った方がいいんじゃない?」とジャッジされ、僕のエンタの神様出演は夢のままに終わりました。
その結果を素直に真栄田さんに言えなかったのは、自分の力の無さ、恥ずかしい自分を見せたくなかったんです。

真栄田「なるほど‥こんな感じで進んでたんですね。全く知らなかったです」

そのお蔵入りになった幻のピン芸のキャラクターは『ガンジー』という、「村人を集めて罪を告白させ、許す」というショートコントだったそう‥。
トシ「よくゴーサインでかけたな!プロデューサー名判断だよ!」(笑)

3日目「ごめんなさい」

真栄田→内間


今日はお前に謝りたい事を書きます。
まず初めに「スリムクラブの全てをオレ一人で決めすぎてるワンマン経営」について謝りたい。
ネタも、スケジュールも、仕事中のお前の立ち位置も、日頃のお前の発言についても全部オレが
「あーした方が良い、こーした方が良い」と口を出してすいません。
お前にはお前の考えがあるだろうに、そこに耳を傾けず、自分の気持ちだけを俺はお前に押し付けていました。


これから話す事は、今まで書いた事のフォローみたいになってしまうけどオレが本当に思っている事だから読んで欲しい。
7年間のウチ、一度だけ「内間スゴイ!!」と思った事があります。
それは2010 M-1の決勝戦の時です。
オレ達スリムクラブは当時、全く仕事が無く、TVにも出れず、お金も無い、本当に厳しい状況でした。そんなオレ達がM−1に出場し、キセキ的に決勝まで行けたのは本当にありがたいことでした。
しかし、そんな状況を、オレは「これを逃したらもうチャンスは無い」とプレッシャーに感じ、極度の不安と緊張に襲われていました。
そんな気持ちの中、決勝戦が始まり、生放送がスタートしました。ステージにオレたちを乗せたリフトが上がって行き「うわ〜!!どうしよう!!始まる!!」とテンパってるオレ。

そんなオレの肩にポンと手を置いてお前が言った言葉は一生忘れません。
「真栄田さん、今まで本当にありがとう。今日はオレにまかせて下さい。今までの恩返しをさせて下さい」
助かりました。本当に助かりました。その言葉でオレは不思議と気持ちが楽になり、
ネタを安心してできるようになりました。
さらに、ネタ中のお前はコンビを組んで7年間のうちで一番落ち着いていた。
おかげでお前にあまえられたオレは安心してネタを出来ました。
人生の「ここしかない!」という瞬間に、最高のパフォーマンスを見せてくれた内間は本当にすごいと思う。
そんなお前のすごさを忘れて、いつも怒ってばかりでごめんなさい。

内間「相方は僕のことを本当によく見てくれてるんだなと思いましたね。とにかく幸せな気分になりました」

内間→真栄田

真栄田「だんだん照れくささもなくなってきて、真剣に言いたい事言い合えるようになったかなぁと思いますね」


2010年M-1勝戦で、真栄田さんがそんなにプレッシャーを感じ、緊張していたとは思いませんでした。
あの時は、絶対に面白いネタを100%皆に伝えたい一心で、本番当日まで何週間か、毎日自宅で、自分が演じているのをビデオに録り、納得行くまで練習してました。
だから本番自信を持って緊張せずに落ち着いていられたのかもしれません。

真栄田「知らなかったですね。びっくりしました。嬉しいですし、あーだからあんなに落ち着いてたんだなって納得いきましたね」


さて、「真栄田さんのスリムクラブワンマン経営」についてなんですが、そうなった原因は僕にあると思います。だから僕が謝りたいです。
僕は真栄田さんに頼り過ぎです。台本もボケ、ツッコミ、演出全て真栄田さんがやってくれてます。全てですよ。
それは普通のコンビではあり得ない事だと思います。

ナレーター「真栄田に依存していたことを赤裸裸に告白した内間。さらに過去一度だけあったという解散の危機について語りだした」


あと、もう一つ真栄田さんに謝りたい事があります。それは、2007年の頃のことです。
「俺、他にやりたい事が見つかりました。お笑いやめます」と言った時の事です。
スリムクラブがこれからって時に解散話を持ち出して、しかもウソをついてすみませんでした。
本当は、お笑いを続けたかった。
でもあの時舞台で全然結果が出ず、せっかく真栄田さんが作ってくれたネタも自分の役割を理解できず壊す有り様で、お笑いに自分に自信が無くなっていたのです。
そんな僕の気持ちを察知したのか、しなかったのか分かりませんが、真栄田さんは優しく
「少し時間をくれ。ま、その間にライブあるけど、内間は何もせずに立ってるだけでいいよ」
と言ってくれましたよね。
あの言葉で僕はどんなに救われ、楽になる事ができたか。
そして、ゆっくりゆっくり時間をかけていって、
「やっぱり僕はお笑いを続けたいんだ」と、はっきり分かる事ができました。
あの時の真栄田さんのあの言葉がなければ、今の自分はいないと思います。

真栄田「なるほど‥嘘付いた時と比べると、ものすごく成長してて嬉しいですね。」

4日目「ありがとう」

真栄田→内間


内間へ。
内間、お前とコンビ組んでもう7年になるな。本当に色んな事があったよな。
たくさんお仕事を頂いて、たくさんTVにも出してもらえるようになって、本当に嬉しいです。
オレにどんなに怒られても、悪く言われてもお前は必死でついてきて、
歯を食いしばって行動してくれた。有り難う。お前頑張ったよ。ありがとう。

お前には、持って生まれた、素敵な心がある。
オレはそおにホレてお前と組みました。そしてそれは大正解でした。
内間、お前と組んで良かったよ。
できればこれからも、末永く、オレとスリムクラブをやってもらえませんか?
お前と一緒なら、どんなところにも行けそうな気がする。
よろしくな!内間!愛してるぜ!!

お前を見つけることが出来てよかった。
神様、オレと内間を出逢わせてくれてありがとう!!

内間「本当に‥愛を感じますね。感情がもともと熱い人だと思うんですけど、知った上でこの文章を読んでもものすごく嬉しいですね‥」

内間→真栄田

最後の日記はスタジオで朗読。
ナレーター「一方的にお笑いを押し付けられてきた内間が、初めて明かす想いとは?」


真栄田さんへ
日記読みました。真栄田さんがこんなにも僕の事を気遣ってくれて、考えてくれてるとは思いませんでした。うれしいです。
僕は真栄田さんのことを恩人だと思ってます。
スリムクラブを結成する前の僕は本当にどうしようもない人間で、人生の目的も無く、無気力で、毎日パチンコ屋に入り浸る生活を続けていました。

そんな時に沖縄から上京して来た真栄田さんとスリムクラブを結成したんです。
真栄田さんの言葉が僕の人生観を変えてくれました。

お前の人生間違っている!人生はもっと素晴らしいものだ!人間の可能性は無限だ!

真栄田さんのおかげでお笑いだけでなく人生をやり直すことができていると強く思っています。

いつも不器用で失敗ばかりする僕の事を信じて待っていてくれてありがとうございます。
普通ならとっくに解散していたと思います。
そんな真栄田さんは辛抱強い、愛の塊の人間で、そしてそんな人にめぐり会えた僕は世界一幸せな人間です。
これからもこの素晴らしい世界で一緒に仕事させて下さい!!

本当にありがとうございます。感謝しています。そしてこれからもよろしくお願いします。

真栄田さんも涙。
真栄田「正直嬉しいですね。これからも内間が僕とやってくれるんだなっていうのを強く感じられて。ありがとうございます」
内間「こちらこそありがとうございます」頭を下げ合うふたり。
タカ「絶賛してたもんね。持って生まれた才能だって。性格とか。」
真栄田「そこだけですけども(笑)」
タカ「芸人力はないんだけど人間力は強いんじゃない?芸人力はゼロだけども(笑)」
トシ「また悩むから〜!」


なんと言うか、スリムクラブ、不思議なコンビ‥。
三日目四日目は、そのまんま熱烈なラブレターのようです(笑)
芸人交換日記も三作目。フォーマットも決まっていて、そろそろパターンも見えてさすがに感動しなくなってきてるか‥と思ったのですが、ストレートな愛情表現にグッと来てしまいました。
「これからもこの素晴らしい世界で一緒に‥」と言う時に、その「世界」は、お笑いの世界というだけでなく、文字通り「この素晴らしい世界」を指しているのかなと思いました。お前を見つける事ができて良かった、組んで大正解だったって言えて、神様に感謝することができる出会いってなかなかないです。気持ち悪いなぁ。でもいいなぁ!と素直に思う。

2010年のM-1準決勝、国技館でのことを思い出しました。休憩時間、外に出ると喫煙所でスリムクラブのふたりがタバコを吸っていて、ふたりでお客さんに手をふったり写メに応じたりしてました。その後のMCで「スリムクラブはふたりでご飯行っちゃってた」みたいな話も聞いた気がする。上下関係はっきりしつつも仲が良いんだな、と思っていましたが、本当にそうなんですね。
その後、決勝進出を決め、ファイナルでも笑い飯を脅かす大健闘の準優勝。これからスリムクラブをとりまく環境が変わっていっても、お互いに対する気持ちは変わらないままであって欲しいなと思いました。

次回はアンジャッシュ。あまりコンビ愛のイメージがない(笑)んですが、どんな話が聞けるのかこちらも楽しみです。