マンボウやしろ月間第二弾「エクセレント!」

マンボウやしろ月間第二弾は「エクセレント!」

昨年5月に、マンボウやしろ襲名記念公演として神保町花月で上演され、当初チケ売れ行きが伸び悩んだものの、口コミで評判が広まり終盤は完売補助席連発という大評判の舞台を、オリジナルキャストそのままで再演。
今回もチケ売れ行き好評のようでした!

脚本・演出:マンボウやしろ
出演:ライス、五明拓弥グランジ)、佐藤大(グランジ)、かたつむり林、カゲヤマ、ランパンプス伊藤真奈美(THEフォービーズ)、工藤史子 他
Story:オモチャ工場の次男スグルの心はアノ日から閉じているがいつか心の底からエクセレントと叫ぶ!言葉が無くても届くもの。

登場人物名は週刊少年ジャンプからとったもの

特に作中で語られてはいませんでしたが、登場人物名はジャンプの懐かし漫画からとられているようです。

  • 主人公:スグル(キン肉スグル)
  • 主人公の兄:セイヤ(聖闘士星矢
  • 幼馴染の彼女:ナミ(ONE PIECE
  • ベテラン職人:桃太郎(男塾)
  • 職人A:翼(キャプテン翼
  • 職人B:ポポ(DRAGON BALL
  • 職人C:キスケ(ブリーチ)
  • 職人D:ノブナガ(HUNTERxHUNTER)
  • 金持ちの息子:マダラ(NARUTO

ナミが「今の私の夢」をジャンプネタのバリエーションで叫ぶという小ネタもありました。*1

あらすじ

オモチャ工場の親方の息子、スグルは高校を辞めて部屋に引きこもり、日々を友人と無為に過ごしている。そんな息子を責めること無く優しく見守り続ける親方とおかみさん。留学した兄を慕い、帰りを待ち続けるスグル。一家には兄をめぐる悲しい過去があった。

脚本はマンボウメルマガにて配信されています。
気になる方は下記バックナンバーを購入のこと。
2012/09/30 マンボウやしろ『死ぬまで生きます』vol.021
〜第22号 『エクセレント(前半)』〜
2012/10/01マンボウやしろ『死ぬまで生きます』vol.022
〜第22号 『エクセレント(後半)』〜

このお話、すっげー身も蓋も無いことを言ってしまうと「ヒキニートの夢物語」なんですよね。
ショックで高校中退して数年引きこもっていても、親は優しいし、自分から振った彼女も変わらず自分のこと好き。
その気になって社会復帰しようと思ったら仕事はちゃんと用意されてて大歓迎だし、しかも自分にはすごい天才的な才能があって復帰直後に周囲も大絶賛の大活躍。実は腕っ節も強くてその気になれば不良にも喧嘩で勝っちゃうというスーパーマンぶり。

なんて都合がいい!
引きこもりニートがいかにも「こうだったらいいのにな〜」って夢想するようなお話です。ケッ世の中そんなうまくいくかい!あほらしい!だまされませんからね!

…と、思いっきり斜に構えて見ていても。それでも。
スグルが心を閉ざした理由が徐々に明らかになる場面では背中がぞくっとするし、
スグルが自分を取り戻してみんなの所に戻っていく場面では、その圧倒的なカタルシスに思わず涙がドバドバ出てしまうんですよね。

あー悔しい。悔しいったら。非常にね、マンボウにしてやられた感が。くそう…。

人は死んで、世界に何を残すのか…?兄から弟への想い。兄からの手紙には何が書いてあったのかな。
「守るべきものがいるから死に物狂いで頑張れる」という両親の愛。「生きててくれてありがとう」という、無条件で存在を肯定してくれる、祝福の言葉。
大切なものを失い、傷ついて挫折しても、大丈夫、傷が癒えたらまた歩き出せる。世界はキラキラしてる。


「君と出会って 僕は初めて ひとりでこの街を歩いて行く。この寂しさを この寂しさを どうか優しさに変えてゆきたい どうか優しさに変えて届けたい」(くるり 三日月)

いろいろ考えて、爽快に泣いて笑ってほんわかあったかい気持ちになって、「こんな優しい物語もいいね。素敵」って思えてしまう舞台でした。

*1:「今の私の夢は〜〜〜〜セクシーコマンドを習得することよ!」とか。「幻影旅団に入ることよ!」とか。