kisskisskiss2013

神保町花月ではマンボウやしろ月間として、やしろさんの演出脚本作品4作を続けて上演中。
その第一弾『kisskisskiss2013』は、2010年上演時のキャストを一部変えての再演作です。

2010年初演時の感想はこちら↓
kisskisskiss 2010 感想 - Sugarsの日記

キャスト

2013 前回(2010) 備考
太子 平田敦子 平田敦子 アラサー彼氏なしOL
小林 街のベーカリーズ岡部 ブレーメン岡部 冴えない同僚リーマン
OL1 ブロキャス房野(ぼーこ) チーモン白井(しらこ) うるさく無遠慮な若いOL
OL2 エリヤン橘(たちえ) ジャンポケ太田(おタカ) うるさく無遠慮な若いOLその2
OL3 コンマ堀内(ほりみ) ジャンポケ竹山(たけみ) うるさく無遠慮な若いOLその3
男1 街のベーカリーズ畑中(成宮) チーモン菊地(福田) 社内の人気者
男2 コンマ竹永 ブレーメン関根 話題のロックスター
男3 ブロキャス吉村 ジャンポケ斎藤 人気アイドルスター
男4 エリヤン西島 カナリヤ安達 若い小説家
あらすじ

35歳独身彼氏なしで恋愛に縁遠い生活を送っているOL太子(ふとこ・平田敦子)。会社では若いOL三人組(ぼー子・たちえ・ほりみ…全員女装)に馬鹿にされ、ひそかに恋心を抱いている社長の息子にもまったく相手にされない。ある日ピンクの招き猫を磨いていると、恋愛の神様が降りてきて、太子に「好きになった相手が必ず自分と恋に落ちる」という不思議な魔法の力を与えてくれる。この力を手に入れた太子はいろいろな男性と恋愛をしていく。

社長の息子 成宮(街のベーカリーズ畑中)

太子の最初の相手は、魔法の力を手に入れる前から密かに恋心を抱いていた社内の人気者。
前回チーモン菊地さんは上司の設定だったんですが、太子の後輩かつ社長の息子という設定に変わってましたね。スーツもっとビシっとしてればさらにそれらしく見えたと思いますが‥でも「仕事はあんまりできないかもしれないけど育ちも顔も良くて悪気のなさそうなアホの子の感じ」が出てましたw たしかに上司と言うよりは社長の息子っぽい!
ディズニーランドに行く相談をしたり、ラブラブ状態のふたり。今まで恋愛経験がほとんどなかった太子に「太子さんの魅力に気付かないなんてバカな男ですね!まぁ僕もそうだったんだけど…どうして今まで気付かなかったんだろう…?」とメロメロイチャイチャ。しかし太子が携帯をチェックすると、そこにはぼーことの浮気メールが…「本命は太子さんですよ」「ぼーこはぐいぐいこられたから浮気しちゃっただけで…」「いいじゃないですか!俺が全部悪いんですか!?」身勝手な感じがよく出てました。顔もいいし社長の息子ってことで女の子からチヤホヤされて、あんまり考えずそれに乗っかってきてたんだろうなーという…。「距離を置かせて…」太子の気持ちが醒めた瞬間「別れましょう。ていうか別れます。え、どういう手使ったんですか?つきあってたって絶対誰にも言わないで下さいね」魔法が解けてそそくさと去って行く成宮。

ロックスター (コンマニセンチ竹永)

次の相手は人気バンド、ローズマシンガンのボーカル(?)竹永さん、目の周りを黒く塗って登場。こえーよw
マシンガンキスや魚雷キスなどいろいろ仕込んできてました…。
セリフなどはほぼ2010と同じだったかな…。

OL三人娘

恋愛に忙しく、働く意味がわからなくなって会社を休みがちになった太子。会社で「どんなキスがしびれるか」談義をえんえんくりひろげるOL三人娘。
エリヤン橘さん扮する「たちえ」はメイクがきついのとカツラかぶってなくて地毛のままなもんで見た目のインパクトがすごいw
ぼーこはロング&黒ぶちメガネで一見真面目そうだけど…?という感じ。
コンマ掘内さんのほりみは茶髪&マフラー手袋(こんなの↓)で
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かわいいけどお前それ仕事しにくる格好かよというw まぁ三人とも仕事してるとこ見た事無いですけどw (そもそも何の会社なんだよ…というかOLの採用基準明らかにどうかしてるぜー!)
三人とも「俺の考えるカワイイOL」のイメージで女装したのかなー?と考えると面白いです。
しびれるキスのシチュエーションとか、ラゾーナ川崎で働いているバルーンアート職人や金魚職人とつきあってるとか、かけあいも長かったけど笑えたし好きな場面です。その後に登場するゴンゴンとのやりとりも好きw

韓流スター ヨウ・ゴンゴン(ブロキャス吉村)

吉村さんがカタコトで韓流スター好演!このシーンは初演時を明らかに超えてたと思う名シーン。
顔中にキスして「ハズカシクナイヨー!」とか
ゴ「ナイテルノ‥?」ふ「これは…ゴンゴンの汗よ!」とか
ふ「脱ぎたいなら脱ぎなさいよ!」と言われ服を脱いだら腹に『サランヘヨ』と書いてあるギャグを太子に「それ…私が笑うと思った?」と冷たく返されるのとか笑ったなー。
キスしまくって笑っちゃう太子が「なんか天国みたい!もう竹島あげてもいいー」それを聞いてゴンゴン急に怒り「モトモト韓国ノダヨ!それにドクト!」太子「はっ、そこは分かり合えないんだった…」のやり取りとかもウケましたw
記憶喪失になったフリのゴンゴンにキスをして記憶を取り戻させ、「戻った!んー」「「サランヘヨ!」」のバカップルのノリを何度も何度もえんえん見せられて、いーかげんにしろやーwと思いつつ、なんかふたりが可愛くて楽しく見てしまう。
「太子は僕のものでいいね?」「そうよ!ゴンゴンは私のもの?」「ハハハ違うよ、僕はファンのもの。みんなのもの!」
そんなのおかしいよ!と言う太子に全然おかしくないよ!と応えるゴンゴン。
「太子はみんなのものを自分のものにしようとしてるの?」
本当は自分のものじゃないものを魔法の力で無理矢理つなぎ止めている太子。なんだかグッサリくるセリフです。
結局、ゴンゴンは去って行ってしまう。

成宮とぼーこ

父親である社長の指示通りに横領をし、逮捕拘留されてしまった成宮。
ぼーこ「先輩の他にも浮気しているの知ってました。」太子「そんなのひどいよ…嫌にならないの?」ぼーこ「なんども嫌になった。でも、それ以上に好きなの」
太子の魔法の力は、一度でも自分が嫌になったら恋が終わってしまう。でも本当の愛は、何度も嫌になったり仲直りしたりして深めていくもの。
ふ「辛くないの?」ぼ「辛かった。でも別れるのはもっと辛いから知らないフリをしてた」
ふ「そんなの、ぼーこちゃんが辛いだけじゃない!いつも女の側が辛い想いをしなくちゃいけないの?」
ぼ「先輩…それは余裕のある人のセリフです」
ふ「違う、余裕なんてない…!」
他の選択肢がある太子と、成宮一筋のぼーこの違い。

前回のチーモン菊地さん&白子はまだなんとなく菊地さんに「できる悪い男」みたいな魅力があって、白子はそこが好きになったのかなと思えたんですが、今回のバージョンではなんでぼーこは成宮のこと好きになったんだ?と疑問に感じる部分が多少…w

「俺にはもう何も残ってないよ…」「目に見えないものは、何も無くなってないわ。」
結構会場で泣いてる人いました。

小説家 コウ(エリヤン西島)

最後の男、小説家のコウ。部屋でじっとDVDを見る。
2010の安達さんはかなり水島ヒロ感があって、売れてるベストセラー書いてるんだろうなー淫靡だなーという感じがしてたんですが、西島さん版ではそれより固く、フェロモンというよりは若造感が出てて、なんだか理屈っぽいなー頭でっかちそうだわーと感じてしまいましたw
EDトークで「エロくしよう」と頑張るあまり舌を入れようとしていたそうですが^^; 平田さんは断固阻止だそうです。
コウが言っていた手に入れる事で失うもの。失った事で手に入れるもの。物語の中にもたくさんちりばめられています。

太子と小林(街のベーカリーズ岡部)

横領事件の影響で会社が倒産し、魔法の力があっても恋は成就せず、雨の中招き猫を抱えて泣く太子。こんなものがあっても…!と招き猫を壊そうとするところに小林が登場。
2013は2010よりわかりやすく、小林も前半部分から明らかに太子に気がある感じになっていた(「折角だしつきあっちゃうー?」とか)ような気がします。
なので最後のシーンで小林が太子に告白し、驚く太子に「びっくりしたろう!俺隠すのうまいからな!」と言うセリフがありますが、2010はともかく2013の時は「全然うまかねーよバレバレじゃん!」とか思ってしまった。
あと成宮と別れた後、太子が小林に恋愛相談をするシーンがあったのですが(2010でもあったっけ…?)明らかに自分に気がある相手に恋愛相談するとか、太子もたいがいヒドいやつだなー…と思いました^^; 残酷というか。あまりにもそういう経験がなくて鈍感で気付いてなかったって事…?

毎回、太子は自分を好きにならせた相手に「私のどこが好き?」って聞いていました。
魔法の力で好きにならせた偽りの感情なのに。「かわいくて、優しくて、女性らしくて…」と、言われることで少しでも安心したかったのかな。
でも、小林は、「だらしがなくてどうしようもなくて…」とありのままの太子を好きになってくれた。
飾ったり作ったりしてない素の自分を見せていた分、うまくいくのかも。

平田さんとキスをしないのは、橘さんと堀内さんと、岡部さんだけ。
ずーっとほぼ出ずっぱりでキスしまくって、消耗する大変な役で、さすがにEDでだいぶお疲れな感じでしたが、平田さん、今回もあっぱれな演技でした。

もし次回があるなら誰にどの役やって欲しいかなー…なんて考えるのも楽しいです。