神保町花月カリカやしろ演出はんにゃ主演「肉体の悪魔」(10/8) 

カリカやしろさんの演出、はんにゃの主演、どうなるんだ‥?と期待半分不安半分で見に行きました。

10月8日(土)、9日(日)、東京・神保町花月にて、はんにゃ主演、カリカ家城演出のMONO-KAKI大賞シナリオ部門大賞受賞作「肉体の悪魔」が上演される。

「MONO-KAKI大賞」は昨年2010年5月、吉本興業小学館ビッグコミックスピリッツ」、ニッポン放送オールナイトニッポン」が手を組み、作家・脚本家を目指す人たちを対象に設立。ショートストーリー部門ではアホマイルド・クニが大賞を受賞し、6月27日発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ30号」にて、小田扉によりマンガ化された。

同舞台は、シナリオ部門で1112作品の中から大賞を射止めた作品。審査員の井筒和幸監督からは「ベテランが書いてるんじゃないかなって感じで読みましたね」と絶賛された。

主演は「MONO-KAKI大賞」でオフィシャルサポーターを務めたはんにゃ。これまで同劇場にて数々の舞台を経験してきたが、今回は久々の主演となる。物語は女性教師と女子生徒の同性愛がテーマ。家城の演出も気になるところだ。

冒頭、下校のチャイムの後に聞こえてくる蝉の声を聞いて、あー家城さんだー‥と。やしろさん演出と蝉の声って結びついているイメージです。*1

放課後。蝉の声の中、愛を囁きくちづけを交わすふたりの少女。
暗転。周囲の教師や両親の責める声。引き裂かれる2人。
レイコ「女の子同士で愛し合うのってそんなにいけないことなの!?」
サオリ「わかった!もう逢わないから!」耐えきれず叫ぶサオリの声を聞き、絶望したレイコはサオリの目の前で飛び降り自殺をする。
「あなたにもう逢えないなら、生きている意味なんて無いから‥」
レイコーーー!」空しく響くサオリの声。

冒頭からかなりシリアスで緊迫した迫力の演技。「は、はんにゃは‥?」と思っていたらBGMが流れ、暗転と明転が繰り返される中でサオリとレイコ、金田、川島が交互に登場。長めのオープニングでした。

時は流れ、32歳になったサオリは教師になっていた。そこに転校してきた男子中学生ノブヒコ(川島)はサオリに「やっと逢えたね」と謎の言葉をかける。
転校生はレイコの生まれ変わりだった。最初は驚くものの、好きな映画や想い出の話を聞いて納得し、「逢いたかった!」と抱きしめるレイコ。「ほら、今度はちゃんと男の子で生まれてきたのよ」「性別なんて関係ない!」
教師と生徒という関係でありながら、サオリの自宅に入り浸るノブヒコ。手作りハンバーグを作って帰宅したサオリを出迎える。当然やがて噂になり「本当なら強制わいせつ罪で訴えられますよ」学校に警告される。
生まれ変わってきてもやはり許されない関係のふたり。
「一度あなたのご両親にきちんとお話しておきたいの‥」とサオリがノブヒコの家を訪ねると、不思議な事に、そこはかつてレイコが住んでいた家だった。
そしてレイコ(ノブヒコ)の部屋であるものを発見したサオリは、ノブヒコに憎々しげに「天使は悪魔の顔をしてやってくる。あなたのことよ」と告げる。

ここで驚きの演出。
ナレーター「はんにゃ川島、学ラン、女口調の違和感でストーリーが頭に入ってこない事をお詫びします」
川島「マジかよ‥一生懸命やってたんですけどね。オカマじゃだめって言うし。一生懸命やってたんですよ。申し訳ない‥」
ナレーター「これより、キャストを変えてはじめから再演いたします」
客席、ええーーー!の声。私爆笑。さ、さすがやしろさんやで‥ww

そして本当に最初から再演。今度は金田くんがノブヒコを演じる。転校してきた時のシーン「背も高いしかっこいー!私告白しちゃおうかな!」が金田くんだとしっくりくるww 章ちゃんはサオリの婚約者役で登場。
サオリが婚約を破棄するシーン、相手が金田くんだった時は「もったいない‥」という感じだったんですが、章ちゃんになると「ま、もともと釣り合ってなかったしな。破棄していいんじゃないか」という印象になってしまうのが我ながら現金。
金田くんの時は、「あなたと結婚する前に裏の顔が知れて良かったわ!」と逆ギレするサオリに金田くんが冷徹に『コップの水をかけて去る』(演技)というシーンだったんですが、章ちゃんの時は逆にちすんさんからも水をかけかえされ、しかも本当にコップに水が入ってて濡れるというw シリアスな芝居の中で章ちゃんはお笑い担当で笑いどころを作っていました。
2回目はサオリ、レイコ、ノブヒコが白の衣装、他のキャストは黒い衣装でメインと脇役が明確になり、ちすんさんの美しさ、児玉さんの可愛らしさが際立ってました。金田くんもミステリアスな雰囲気で美しかった。

ノブヒコの部屋で見つけたのは、かつてレイコが詳細に書いていた日記。「あなたはこの日記を読んでレイコになりすまし、自分をからかって遊んでいたのね!」ノブヒコを責めるレイコ。
ノブヒコは「これで良かったのかもしれない」と悲しそうな顔して、外国で暮らす両親の元へ旅立つ。
元の生活に戻ったレイコ。コンビニのハンバーグ弁当を食べるが美味しく感じない。ふとノブヒコが作ってくれたハンバーグと、そこで交わした言葉を思い出す。「美味しい!レイコ特製ハンバーグ!」「覚えていてくれたの?嬉しい。秘伝のレシピよ」そのレシピは日記にも書かれていなかった。ノブヒコは本当にレイコの生まれ変わりだったのだ。
「今どこにいるの?」泣きながらノブヒコに電話をするサオリにノブヒコは告げる「今度こそ本当にさよなら‥」

コンテストの文字制限のせいか、ぎゅっと詰まったコンパクトな内容。
『輪廻転生、女性教師と生徒との禁断の恋愛』という内容でありながらサポーターであるはんにゃの主演は決定している。脚本をそのまま上演したのではおそらく時間が短すぎる。
役と俳優のミスマッチ、演技力の制約、時間の制約‥など数々の制約事項や厳しい条件の中、これだけの作品になったのはカリカやしろさんの演出とちすんさんの名演技によるところが大きいと思います。
お芝居としては金田くんバージョンだけで成立しているんだけど、同じ内容を二度繰り返して演じることで、章ちゃんと金田くん両方にスポットがあたり「はんにゃ主演」の意味が出てました。
章ちゃん、俳優としては最悪*2だけど、動きやセリフがオモシロ*3で、ちすんさんが必死で笑いをこらえてる姿が愛らしかったです。そして金田くんは華やかで、ちすんさんと並ぶとお似合いのカップル。
同じ内容二回目でも、集団シーンが無音で演じられたり、衣装の変化やレイコとノブヒコのオーバーラップ、演出の小さな差異などがあり、だれずに見ることができました。
演出の力ってすごいんだな!と改めて思った舞台であり、そしてあらためてカリカ単独がもう見れないと言うことにどうしようもない寂しさを感じてしまったり。(未練がましい‥)
やしろさんの演出の舞台は、これからもできるだけ見に行きたいと思います。

神保町花月「肉体の悪魔」舞台感想 - Togetter

OP曲


歌手:salyu × salyu
作詞:坂本慎太郎
作曲:小山田圭吾

*1:魔王コントとオリコントの冒頭でも蝉の声が流れていたので。しゃべるコントややましげさん舞台ではどうだったでしょう‥?もしかしてやしろさん演出の際に蝉の声が流れるのはお約束なんでしょうか?

*2:大事なシーンでちすんさんの役名を間違える‥笑

*3:オリラジあっちゃんの章ちゃん評「あいつは自分に対しての可愛さの見積もりが甘い」にだいぶ納得w