「友情=利害関係?オリラジ中田の人付き合い」NHKドキュメンタリー20min

NHKドキュメンタリー20min「再会」でのあっちゃんの人付き合いの考え方が面白かったので書き出してみる

友情=利害関係?

元相方であるNHK若手ディレクター川口さんとの会話。

川口「とりあえず5年やってきましたよ。なんとかディレクターを。」
中田「もっともっと出世してほしいよね俺は。川口の出世が即俺の出世につながると俺は踏んでるから」

まったく悪気のない、本音な感じ。

川口「いやいやなんか…そういうのだけじゃないじゃん。寂しいじゃんそれは」

中田「寂しくないよ!それが俺は健全だと思うけどね」

川口さんが結構強めに否定したのは、このドキュメンタリーの題材に元相方中田を選んだのは、自分が持っている有力な武器だったから…ではなく、あくまでも友情、親友との再会をメインに撮りたかったからだ、みたいにしたい気持ちがあったのかな。

いや別にいいんだよそれは、というあっちゃん。寂しいことではないよ!と。

中田「だって俺が別にテレビに出てなくてお笑いもやめてたら再会したいなんて思ってないでしょ」

川口さん、一瞬沈黙の後「そんなことないよ」

中田 「それでも追いかけに来てたかと言うとそれはわからないよ。」

中田「それは誇らしいと思うことだし。密着したいと思ってくれてる自分でいることが誇らしい。
川口がNHKだから受けたし俺は。」

とても正直。川口さんの沈黙は、痛い所突かれた気になったのか、でも、いや再会はしたいと思ってたし!というの半々くらいの「そんなことないよ」かな。

あっちゃんは、それらを理解した上で『別にそれを悪い事とは思わないよ、利用しようとしてるのはお互い様だし、自分に提供できる価値があるのが嬉しい』という感じ。

川口「俺とおまえは友達だよな? 」

中田「うん友達だよ」

ここは即答。友達だと言う認識はずっと変わらない。でも友達ってなんだ…?と二人ともわからなくなる。

中田「友達の概念わからないけどね」

川口「いや話してて余計わからなくなった」

中田「利害関係が友情…俺は。 それ以外の浪花節のところはないやつなの俺。」

ひとまずあっちゃんが定義。ちょっと迷いながら言い切る感じ。

利害関係が友情、というと冷たい感じもするけど、「お互いが価値を提供できる相手でいよう」という意味でもある。

 

場所はNHKの編集室。撮影は2/6の無限大トーク前だったそうです。あっちゃんにとっても印象的なのかトークライブの中でもこの場面を話題に出していました。「俺が熱く語りすぎて川口が『俺たち…友達だよな?』って不安になるというw 『いや友達だけど出世はしろよ!』ってw」

自分の言ったことがちょっと違う取られ方をして理解と納得を得られなかった、という多少自虐の笑い。

 

現相方との関係

複雑な想いであっちゃんを見送った川口さんは慎吾くんの楽屋を訪ねる。(M-onオリエンタルラジオのそれでいきます」の楽屋)

シビアな?あっちゃんの友情観にショックを受け、悲しくなった川口さんを現相方、藤森さんがナイスフォローするこのシーンがめちゃめちゃ良かった…!

『今の相方に聞いてみる』

川口「わけわかんないなと思って。」

藤森「なにが?」寝起きだったのか、目をごしごしこすって、ふわぁぁ、とあくびをしつつ。

なんかもう、直前のシーンでちょっと川口さんと一緒に複雑な気持ちになってたのがこのあくびだけで一気に和むw

 

川口「自分の利益になるかどうかって基準で考えてるように見えるんだけど…俺はそれが辛かったの…正直」

慎吾くん、あははは…と笑った後、柔らかい人懐こい感じで川口さんの目を見ながら

藤「まぁまぁ…まぁね。しかもそれを露骨に出すからね。逆に気持ちいいけどね俺それが。」

 一瞬のこの返しがすごいと思った。

その場にいたわけでもないのに瞬時に相手の言ってる事を理解して、その通りだ、と同意した上で、でもそれは別に悪い事じゃないんだよ、と違う考え方を提示して相方をフォロー。否定ではなく同意から入るアプローチ。

ここって「こんなこと言われたんだけど…」「あーそうだよねそういうとこあるある、俺もそれで傷ついたことあるわー中田敦彦冷たい男だよ」みたいな悪口で同調するパターンにもなりかねない流れじゃないですか。でもそうしない。誰のことも否定せず理解して認めて受け容れてる感じ。

 

藤森「あのね、向こうも持ってるんだよ川口君に対して。でも照れくさいし仕事で…っていうような向き合い方をしつつ…スゴイ嬉しいんだよアレ今回。結構…密着とかあんまり苦手なんだけど今回も『川口だから俺も見せていいと思うし…』って。だからノリノリなんだよね。川口くんといるのが。」

川口「良かった…」

その上で川口さんが言って欲しかったこと。【利害関係というのは額面通りの意味ではない。君だからこその特別な感情をちゃんと持っているよ。】ということを伝えてあげる。【嬉しいんだけど、でもそれが恥ずかしくて出せない、照れ隠しなんだよ】という事で視聴者的にも『中田敦彦血も涙もない利害関係で動く男』的なイメージから『本当はそうでもなくて正直でちょっと不器用』な感じに。
藤森慎吾すごい人間力。この短いやり取りで全方位に癒しと救いと愛を振りまいてるではないですか…!(褒めすぎ…?)

慎吾くんが、カメラじゃなくて川口ディレクターを見てしゃべってるのが、なんかすごく良くて伝わってきた。メガネでもチャラくもない、割と素っぽい、人の良い感じが非常に珍しく貴重で良かったです。
バラエティではなかなか見れない姿だw
相手の求めている事を瞬時に察知し、理解して与えるすごいコミュ力。いいともやオードリーANNでも話題にされてましたが若林さんが何かと頼って相談しているというのも何となく納得のやり取りでした。これは安心しちゃう。

川口ディレクター。少しほっとする。

 

先輩との関係

ついで、フットンダ収録。タカトシの楽屋を訪ねるあっちゃん。

『若手芸人は忙しい/共演する先輩芸人にあいさつ/週2回は飲みに誘われ、朝まで飲むらしい』

タカトシに挨拶。

トシ「どうもー」

中田「よそよそしいな!あはは僕にはちょっと当たりがまだ。まだなじめてない…」

トシ「そうですかー」愛想笑い。中田「会話して下さいよせめて」

何度も共演してるしあっちゃんとも親しいし可愛がってくれてるとは思うのですがなぜこの距離感w(もちろんジョークでしょうが)
トシさんは慎吾くんとは仲良しで旅行行ったりしてるのでそれが「僕には」のあたりに出てるんでしょうか。

 

川口「どんな後輩ですか?」

タカ「できる後輩ですよ。いつ誘っても来ますし。だからすごいストイックでやる気があるなと思ってますけどね」

中田「ありがとうございます」

タカ「まだ信頼はしてないですけど。」中田「いや信頼して下さいよ」

タカ「たぶん自分のためにプラスになるから一緒にいると思うんですけど僕に価値がなくなったら急にいなくなってると思う」

中田「裏切るんじゃないかって言う…(笑)まだ信頼してもらってないですか」

タカ「まぁこれからですよね」

頑張って先輩と人付きあいしてるなー…という感じ。タカさんも人見知り全開、なかなか人を信頼しない疑り深いのがありあリの表情w 心開いて付き合って、裏切られたら悲しくて傷つくからと初めから人を近づけないタイプの人。おそらく内面は優しくてナイーブ。

あっちゃんはそこに近づいていってるんだけど、「プラスになるから一緒にいる。僕に価値がなくなったら急にいなくなる」という言を全く否定しない。初めからそれを隠さないから、タカさんもそれを理解し許容した上で傍に置いている。

あっちゃんが【仕える先輩】としてタカさんを選んだ理由がすごいわかるなーと思いました。

友情も利害関係なら先輩づきあいも利害関係。筋が通っている。

 

一見冷たく思えるけど、本来あっちゃんは【できることならコミュニケーションや社交にあまりリソースを使いたくない。一人の好きな時間を確保したい】と思っていて、でもそうも言ってられないから必要なことだと割り切って社交するんだけど、それならそれに引き合うだけのメリットがないとやってらんない、と思っているという感じなのかなと。

ただ飲むだけとか遊ぶだけの「利害関係」のない友情ももちろんあるんだろうけど、今はやるべきことがたくさんあって時間がない。おそらくそういう『気の置けない利害関係のない単なる仲間とのレクリエーション』に対しての優先順位を下げていて、自分に対して許していない状態。

だから利害関係、と言い切るし、先輩に対しては呼ばれれば「ストイック」に「いつ呼んでも来る」w

おそらく今は先輩づきあいに対する優先度をあげていて「先輩に呼び出されたらできる限り応じる」と決めているのかも。そういう方針に決めたからやる。ストイックだなーと思う一面。

 

 

「ほんと毎日仕事してさ、先輩と人付き合いしてたらさいつ自分の時間あるんだ?ってなっちゃうから」

「夏にまたライブやりたいからまたネタつくってちょっとかけたりしながら単独むかえたいけどね」

「ネタ作るの負担なんだよなー…」

そりゃそうだよね、先輩と人付き合いが苦にならないってタイプじゃないもんね。大変だと思う。

…ぼやきながらもちゃんと取り組んで、ライブへの意欲も見せて、負担だといいつつ新ネタも作って。

えらいしすごいと思うし楽しみ。

 

このドキュメンタリー、冒頭では、「ブラマヨとゆかいな仲間たち」のノリで苦難を乗り越えしぶとくサバイブするオリエンタルラジオ中田敦彦!という勢いでいくのかなと思っていたのですが、あっちゃんのトーンが徐々に変わっていってた感じで、『かっこ悪いところのオンパレードでいこうぜ、俺もお前も』という言葉に妙に納得の、力の抜けた感じの【現在の中田敦彦】が正直に出てて面白かったです。

 

ドキュメンタリーって難しいんだなーとも思ったし、面白いなーとも思った。