オリラジが語る「あの時」世界の認識、ターニングポイント

テレビ朝日「お願いランキング」内のコーナー「ブラマヨと愉快な仲間たち」にオリラジがゲストとして登場。「ちょっと深めの」トークをするのがウリのコーナーですが、だいぶ深いトークをしていました。
ホントは全文書き起こしたいんだけど、とりあえず一番深いとこだけチョイス。
id:LittleBoyさんの素晴らしい下記エントリもぜひー!
2010-11-23

「あの時、どう思ってた?」(ブラマヨからオリラジへの質問)


『ブレイクしたあと一時低迷していたあの時の心境をマジ告白!』

小杉「自分らも最近ネタにしてるけど、2年目くらいで番組たくさんやってて、それからちょっと勢いがパッと止まった時あったやんか。」
中田「ガクーンてね。番組一気に4本終わったりとか。」

えー!という会場の声は「そんなに一気に終わったの?」なのか「そんなに番組持ってたの?」なのかどっちでしょうね。

中田「すごくあの頃、実際問題どう思われてるんだろうっていうのもあったんですよ。リアルな話ブラックマヨネーズさんにどう思われてるのかなって、リアルな話言って欲しいんですよ。」
小杉「2年目で俺らあれやれたかっていうたら絶対やられへんなって。全国ネットで人前出てちゃんと喋れたか言うたら喋れへんからやっぱ肝座ってんなって話はしてたんちゃうかな普通に」
吉田「藤森がめちゃめちゃ華あるように思ってて。テレビで見ててかわいらしい顔もしてるし典型的な人気者の顔じゃないですか。言うたら小杉は真逆じゃないですか藤森と。小杉が薄なってきたから俺らアカンというのはありましたよ。」
中田「なんで藤森みたいじゃないんだってことですか?」
吉田「そうです。太って来たでしょ。薄毛とブツブツで太ってきて、二人組で三つは多くないかって。」
小杉「まぁ言うてましたね(笑」


ブラマヨが2年目だったらオリラジみたいにできなかった』
認めてもらってたー!嬉しい!たしかに、デビューしたてであれだけの場を与えられて、そこでふたりがあの活躍ができたというのは本当にすごいことなんだというのが今はよくわかる。そしてそれができたのはふたりの実力と努力。度胸と達者な喋りと、人気者としての慎吾くんというキャッチーな存在が重要だったというブラマヨの分析。吉田さんの言葉に「まぁそういう話はしてましたよ」と普通に返す小杉さん。ブラマヨは楽屋でも良く話す、と直前のトークでも言われていたように意思疎通が良くできてるんだなというのが端々から感じられました。

「こっからガチで話させてもらっていいですか‥今までもガチで話してましたけど」と熱が入りはじめるあっちゃん。ヒートアップ!「この経験はあんまりないこと‥」

中田「全盛期ゴールデンに冠が三つあったんです。オリラジ経済白書、オリキュン、TBS 日テレ フジであったんです。
正直なところいうと、どういう感覚なのかって言わせてもらうとやっぱり不安ですよね。デビューしてすぐバーン!ってF1カーに乗ったような‥時速300kmで首もげそうな感じなんですよ。」

小杉「免許とってすぐやもんね」
中田「ドゴーン!むちうちむちうちむちうち!っていう」

自らの力では制御不可能な大きなマシンに乗せられ、猛スピードで突っ走っていたオリラジ。

中田「でもそれですごくわかったこともあって‥【1年目とか2年目で『あなたがMCですゴールデンです』って言われて成立する世界じゃない!】っていうのが逆に証明されたってわけじゃないですか」
中田「僕の中での整理の仕方なんですけど、吉本興業の中での実験だったんじゃないかと思うんですよね。‥テクニックもキャリアもなくてもそれで成立するんだったらビジネスモデルとしては正解じゃないですか。コストがかかってなくてパフォーマンス得れるんですからそれが成立したらそれをどんどんやっていくつもりだったと思うんです。」

オリラジのブレイクは戦略的な抜擢、ビジネスモデルの実験だったと語る。もし成功していたら同じようにキャリアのない若手をどんどん使っていく手法で番組が作られて行ったのではないかと。

中田「だけどそれができなかった。促成栽培ができるもんじゃないそれが芸人なんだっていうことを逆説的に説明したのがオリエンタルラジオ


『芸人はすぐには育たないと証明したのがオリエンタルラジオ
自らを実験材料に例えて、自分たちを使った大人たちのその実験は失敗したと断じる。あまりに冷静で残酷な分析、その熱弁に小杉さんがドン引いているw
でもそこに逆に救いがあった、というあっちゃん。

中田「で、逆に僕はほっとしたんですよね。これでこのままじゃお前ら冠やゴールデンやって言われて視聴率バーン高くてずーっと続いてたとしたら俺、逆にこの世界に夢持ってなかったと思うんですよ。
僕らが夢見た世界、かっこいいなって憧れたお笑いの世界は、そんなポンとゴールデンに行け!て言われて大人の力でジャンボジェットみたいにずっと飛び続けられるんだとしたら僕らってなんなのってなってたと思うんですよね。」

大人の力だけでは操作できず、当人の実力がないとダメな世界。そこに介在する余地があると。

だとしたら逆に夢あるわ!って。だって【いくら評価されてもされなくても本物しか残らない世界】なんですよこのテレビって。【『なんであいつおんねん』って人が何年もいれる世界じゃない】ってことが証明されたんだとしたら『じゃあ俺頑張ってもっかいやろうよ』って思えたんですよね。


『本物しか残れない世界だと気づいたのでもう1度頑張ろうと思った』
なんかものすごく‥深い。深くて辛くて、示唆に富んだ言葉。
ブレイク当時の自分たちを振り返り、なぜ自分たちの番組が終わっていったのかを分析して、結果当時の自分たちが実験的に作られた偽物の偶像だったと認める、その頃の自分を否定することはどれだけ辛い作業だったのかと想像するとたまらない気持ちになります。
でもだからこそもう1度頑張って今度は自分たちの力で本物になろうと。本物であればこの世界に残れる、頑張れば自分たちにはそれができるのだと。‥すごくないですかこれ?
まるで『自分たちは偽物じゃない、本物なんだ、それを見せてやる!そこで見ていろ!』という魂の叫びのような。
その気持ちがあること、そしてオリラジが今まで生き残っていること自体が、彼らが本物である事を証明している気がします。

吉田「冷静というか客観的に見てますよね」
中田「そんときすごく辛かったです。」
そんときって番組減っていった時‥?という問いかけに
中田「増えてたとき、もう怖かったですね。じゃあお前らでとかやっても周りのスタッフとしても僕らの事を面白いと思ってオリエンタルラジオでって言ってくれた人たちが周りにいるわけでもないですから」
小杉「そんなことまで感じて仕事してたの?バリバリ辛いやんそれって」
中田「『何でお前らそこにいんの』って思われながらやってる感じが。
その当時はもう全員敵だと思ってた。誰が俺をだまそうとしてるんだとか誰が俺を憎んでるんだってことばっかりで‥

いわゆる「仕事を憎んでいた、ファンすら憎んでいた」時期ですね。ちょっと思い出してQuickJapanのインタビューを引っ張りだして来てみた。2008年4月の記事ですがこのインタビューでも自分たちを促成栽培されただけで実力はまだまだ、と語っています。

(QuickJapan 77号)
慎吾「ファンの人たちを睨みつけていた時期もありました」
中田「これまであまり人と接してこなかったんで、人に見られるという障壁すらクリアできてなかったんです。ものすごい人間嫌いになりました。正直、まだ慣れてないんですけどね。」
中田「その点、相方が人と接することをまったく苦にしてなかったので助かりました。」
慎吾「正反対なんです、僕たち。だから乗り越えられたんだろうし、二人でやってきた意味があったんでしょうね。相方が苦手な部分は俺がカバーしようとは思ってましたから。

その慎吾くんが「その時どう思っていた?」と聞かれて返答。

藤森「僕の中でターニングポイントだったというか自分がMC立たせてもらってやっててゲストに先輩が来てるってときってなんか変な感じで埋まらぬ距離みたいなのがあったんですけどなくなったことによって‥
ブラマヨさんとか次長課長さんと一緒のひな壇に立たせてもらってってなった時にあらためてすごいんだなって思いつつも、あの当時は気づかなかったけど『すごく見てくれてるんだな』って。
やけくそになって頑張って頑張ってやった時に初めて河本さんが番組終わりに『全然おもろなったやん』って声かけてくれた時にすごいこの仕事やってて先輩に言われるとモチベーションあがるなー!っていうのが自分が変わるきっかけで‥頑張ったらその分‥」
小杉「今日聞いた藤森の言葉でやっと胸に届いたわ(笑」

この言葉も深くて。オリラジのふたりは同じものを見ていても見てる方向、視点が違うんですよね。外部の世界と自分たち、というある意味俯瞰的な視点のあっちゃんに対して、その世界の中に住む自分たちと先輩の関係、という視点の慎吾くん。
あっちゃんに欠けてる部分の視点を、慎吾くんは持ってる。その逆もしかり。どっちも大事なんだなぁと。そしてふたりとも「頑張ったらその分報われる、見てくれてる人がいる」と信じている。それも重要だと思います。
自分たちで言うように「あんまりそういう経験した人」はいない。大人の都合で操縦された子供だった彼らが、打ち捨てられて自分の力で動きだし、やがて大人になって行く、そういう成長物語なのかなと思って見ています。

基本的にオリラジは以前から自分たちの事を冷静に分析していて、「東京R」の段階から言ってることは変わりません。自分たちは下積みがないから、道に忘れて来たものがいっぱいある、その忘れ物を取りに行くのが楽しみだ、と。その頃からもうわかってた、そのことが今現実になっている感じ。彼らが忘れ物をひとつひとつ回収している作業を楽しく見させてもらってます。
興味のある方はこちらもどうぞ。
[rakuten:book:12529503:detail]

あと番組内でブラマヨさんが熱望していたDVDもw